頭痛の診療
- 明らかな脳病変を伴わない一次性頭痛(片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛)と、くも膜下出血、髄膜炎、脳腫瘍などが原因である二次性頭痛に分類されます。
緊張型頭痛
- 圧迫されるような非拍動性の頭痛で、多くは両側性です。
片頭痛
- 女性に多い頭痛です。
- 「前兆のある片頭痛」と「前兆のない片頭痛」に分類されます。前兆は、頭痛より前に起こる症状で、ギザギザの光などの視覚性前兆が最も多くみられます。
- 発作は4 ~ 72 時間続きます。
群発頭痛
- 男性に多い頭痛です。
- 片側の眼周囲~前頭部、側頭部にかけての激しい頭痛が数週から数ヶ月の期間群発します。
- 頭痛と同じ側に眼の充血や流涙を伴うことが特徴です。
薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)
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鎮痛薬、トリプタン、複合鎮痛薬(鎮痛薬とカフェインの合剤など)、エルゴタミン製剤などの薬を常用することで起きてくる頭痛です。
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頭痛持ちの人は、頭痛発作が起きるかわからないという不安があるため、薬への依存がエスカレートしていく傾向があります。すると薬の量が増え、効き目が持続する時間も短くなり、やがては、痛みの水面下で脳の過敏状態が増大し毎日のごとく痛みを感じとってしまうことがあります。
二次性頭痛
- くも膜下出血、髄膜炎、脳腫瘍など
【検査】
- 頭部CT 検査や頭部MRI 検査を行い、頭痛の原因となる異常所見の有無を調べます。
- 脳脊髄液検査により、髄膜炎やくも膜下出血の所見の有無を調べることもあります。
【治療】
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片頭痛の治療薬には,発作時(痛い時)のお薬と,発作を予防するお薬の2種類がございます。
1.発作時(痛いとき)のお薬
a.解熱鎮痛剤
アセトアミノフェン,インドメタシンなど
b.トリプタン系薬剤
スマトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、ナラトリプタン、リザトリプタン
c.レイボー®(ラスミジタン)2.発作を予防するお薬
a.内服薬
ロメリジン、バルプロ酸、アミトリプチリンなど
b.CGRP関連抗体薬(注射薬)
エムガルティ(R)(ガルカネズマブ注),アジョビ(R)(フレマネズマブ注),アイモビーグ(R)(エレヌマブ注) - 緊張型頭痛にはストレッチ運動がすすめられ、鎮痛剤や筋肉の緊張をやわらげる薬を用いることがあります。
- 群発頭痛の発作時の治療としては酸素吸入,スマトリプタン皮下注射,副腎皮質ステロイド,カルシウム拮抗薬が効果的です。
- 薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)の場合は,鎮痛剤をただちに中止します。
(脳神経内科だからできること(一般の方へ)(閲覧用).日本神経学会作成パンフレットより引用,一部改変)
脳脊髄液減少症
- 脊髄を包む硬膜の外に脳脊髄液が漏出し、頭蓋内の圧力が低下するために起こる頭痛です。
- 2-4週間程度の安静臥床と十分な水分補給を行いますが効果がなければ硬膜外自家血注入療法などの処置が必要になります。