パーキンソン病、パーキンソン症候群
パーキンソン病
- パーキンソン病は、主にドパミンという神経伝達物質をつくっている神経細胞の数が減ることにより発症します。神経細胞にαシヌクレインというタンパク質が蓄積することが根本的な原因であると考えられています。最近の研究で、このαシヌクレインの蓄積が細胞から細胞へと伝わっていくことにより病気が進行する機序が明らかになりました。また、パーキンソン病を発症しやすい遺伝的な要因もたくさん発見されて、なぜαシヌクレインが神経細胞に蓄積するのか明らかになりつつあります。
- 現在の治療は不足しているドパミンの働きを補うものが主流ですが、脳深部刺激療法などの手術も開発されています。
- 脳深部刺激療法は、脳外科的な手術で脳の深部に電極を留置し特定の部位を刺激することにより、ふるえなどのパーキンソン病の症状やジストニアなどの運動症状を改善させる治療です。また、パーキンソン病の患者さんは胃腸からの薬の吸収が不安定で症状の変動が激しいことから、内視鏡的な手術でお腹にチューブを留置して、小型のポンプからゲル状の薬剤を小腸に持続的に投与する治療も実用化されています。また、iPS細胞からドパミンを産生する神経細胞を作り、パーキンソン病患者さんの脳に移植する再生医療の研究が開始されています。
(脳神経内科だからできること(一般の方へ)(閲覧用).日本神経学会作成パンフレットより引用)
パーキンソン症候群
- パーキンソン病と同様の運動障害(手の震え、動作緩慢、転びやすさなど)を呈する病気です。
- 原因は様々ですが、パーキンソン病と異なってレボドパの効果はあまりありません。
- 主なパーキンソン症候群
- 薬剤性パーキンソン症候群(スルピリドやチアプリドによるものが多い)
- 脳血管性パーキンソン症候群
- 脳炎、脳腫瘍、脳挫傷の後遺症によるパーキンソン症候群
- 代謝疾患(ウィルソン病、脳内鉄蓄積を伴う神経変性)
- 特発性正常圧水頭症
- 変性疾患(大脳皮質基底核症候群、多系統萎縮症)